外部被ばくと内部被ばくの違い

外部被ばくと内部被ばく

被ばく(被曝)というのは、放射線や化学物質にさらされることを言いますが、一般的に人体が放射線を浴びることを指して使われる言葉です。
放射線には主に放射性物質から放出されるα線、β線、γ線といった電離放射線があります。放射線の線量は吸収線量と線量当量に分けられますが、吸収線量では放射線から物質に与えられるエネルギー量(単位:グレイ(Gy))を表し、線量当量は放射線によって生体が受ける生物学的影響(単位:シーベルト(Sv))を表します。
実際には天然にも放射性物質は存在しているので、私たちは常に宇宙線や地殻からの微量の放射線を浴びている事になります。これは、自然被ばくと呼ばれます。また、X線撮影やがん治療に使われる医療用の放射線を浴びることを、医療被ばくと言います。
放射線源となる放射性物質が身体の外にあり、外部から放射線を浴びることを外部被ばくといい、経口や吸引によって体内に取り込んでしまった放射性物質から体内でから放射線を浴びることを内部被ばくと呼びます。
外部被ばくの被ばく量を減らすためには、@被ばく時間を短くすること、A放射線源からの距離を取ること、B放射線を遮蔽して通さないことが重要です。
被ばく量は浴びた時間に比例します。また、放射線源までの距離の2乗に反比例します。放射性物質やそれが付着したものは極力直接触ってはいけません。放射線は種類によっては紙一枚でも防げるものもあります(α線)。α線やβ線は飛距離が短いので、外部被ばくの場合ある程度線源から距離を取れば、主にγ線のみの被ばくになります。γ線や中性子線は防ぎにくい放射線ですが、極力放射線源との間には何かを挟むようにし、影響を減らしましょう。
内部被ばくは外部被ばくに比べ、大変危険な被ばくです。
線源が外部にあるとかんたんに遮断できる上、飛距離も短いα線やβ線のエネルギーを直接身体に全て受けることになります。
内部被ばくの被ばく経路には、放射性物質の微粒子を吸い込んだり、それが付着したものを食べたり飲んだり、傷口や皮膚から直接取り込んだりといったものがあります。特にヨウ素は皮膚から吸収されるため、ヨウ素131などの放射性物質に触るとそれだけで体内に取り込んでしまうことになります。
ヨウ素は甲状腺に、ストロンチウムは骨に蓄積しやすい性質があるため、体内に長くとどまってしまい、総被ばく線量が大きくなる物質です。このように同じところに長くとどまる放射性物質を取り込んでしまうと、そこが集中的に被ばくしてしまい、DNAを傷つけてガンを起こす危険が高まります。
α線のエネルギーは大きく、体内で細胞自体を傷つけるほか、周囲の細胞にも影響を与え、さらに活性酸素を作り出して遺伝子の分子を切断してしまうためです。β線も細胞を傷つけます。
体内に取り込まれた放射性物質は代謝などで体外に排出され、次第に減っていきます。これによって半分に減る時間を生物学的半減期と呼びます。これと原子核崩壊によって半分に減る物理学的半減期と合わせると、人体に及ぼす実行半減期が算出できます。
セシウムなどの放射性物質を摂取してしまった後、すぐにプルシアンブルー(放射性セシウム結合剤)を摂取すると、体外への排出を促進してくれます。ただしプルシアンブルーを肺に吸入してしまうとセシウムを吸着して沈着してしまう場合があり、その場合深刻な内部被ばくを受ける可能性があります。そのため取り扱いが難しく、一般の医師には処方も投与も許可されていません。
ヨウ素131などの放射性ヨウ素に対しては、甲状腺に取り込まれて放射性ヨウ素が取り込まれるのを防ぐヨウ素剤も有効とされています。これはプルシアンブルーほど取り扱いが厳しくありません。