ヨウ素とは
ヨウ素は原子番号53の元素で、元素記号はI。また、I2であらわされる分子を指しています。ヨードとも言います。天然のヨウ素はすべて安定したヨウ素127で、放射性のヨウ素というものは存在しません。むしろ必須微量元素であり、成長ホルモンの成分として使われています。
しかし放射性物質であるヨウ素131やヨウ素133が甲状腺に取り込まれると通常と同じように蓄積していき、甲状腺機能低下症や甲状腺ガン、甲状腺腫といった、さまざまな甲状腺障害を引き起こします。しかし、医療用として逆にガンの治療に用いられる場合もあります。
特に原発事故で放出されやすいヨウ素131の半減期は約8日。半年もすればほとんど消滅してしまいますが、遺伝子が傷つけられるとガンなどの原因になります。
原子炉事故では大きなもので、1957年10月におこったイギリスのウィンズケールの事故や、1986年4月26日に起こった旧ソ連のチェルノブイリの事故で、大量の放射性ヨウ素が放出され、問題になりました。甲状腺ガンは事故の5年後に表れ始め、5年後に発生のピークを迎えました。
そこで前もって非放射性ヨウ素を事前にヨウ素剤で摂取しておく方法があります。そうすると甲状腺に放射性ヨウ素が取り込まれずに済み、甲状腺障害を防ぐ効果がある程度期待できます。一回の服用で一日程度効果が持続すると言われています。
東京電力の福島第一原子力発電所の事故以来、自宅にヨウ素剤を常備する家庭も増えているようです。目安として、通常受ける放射線の40倍に当たる5マイクロシーベルト/時を超えるようであれば、服用を考えるとよいとも言われます。しかしヨウ素剤は、年齢によって摂取量も違い、肺結核の人や腎障害を持った人など服用に適さない人もいます。どうしても心配で摂取したい人は、あらかじめ医師に相談して服用することをおすすめします。
また、放射性ヨウ素による甲状腺以外の被ばくに対しては全く効果がないので、その点も注意が必要です。
