ストロンチウムとは
ストロンチウムは原子番号38の元素で、元素記号はSr。化学反応性が高い物質で、天青石やストロンチアン石などの中に天然のものが存在しています。元素名は、1787年に最初に発見されたスコットランドの村の名前ストロンチアンを取ったものに由来しています。
人間の体内ではカルシウムに似た挙動をするため骨格に含まれます。
また、炎色反応が赤色なので塩化ストロンチウムが花火や発煙筒に使われたり、炭酸ストロンチウムがブラウン管などの陰極線管のガラスに添加されたり、フェライトなどの磁性材料の原料としてなど、さまざまな用途で用いられています。
ウランの核分裂の際に生成される人工の放射性同位体として、ストロンチウム90があります。半減期は28.8年でβ崩壊を起こし、イットリウム90に、さらにそれがβ崩壊を起こしてジルコニウム90に変異します。核分裂後約1ヶ月で、ストロンチウム90とイットリウム90の放射能強度が等しくなります。
大気中に放出されたものは葉菜類の表面に沈着するため、原発事故後は葉菜類から経口で取り込んでしまうことや、屋外の牧草を食べた牛の牛乳などを飲んで取り込んでしまうことから被ばくします。また化合物は水に溶けやすく、海に流れ込んだものは魚の骨や貝殻に吸収されますので、ストロンチウム90を含んだ魚を骨ごと食べると取り込んでしまうこともあります。海藻類や甲殻類の殻などにも多く取り込まれます。
β線のみを放出することから検出が難しく、土壌に含まれているかどうかを分析するには1ヶ月ほどかかる場合もあります。
以前は1960年代あたりまでアメリカと旧ソ連が行っていた大気圏内核兵器実験の影響で、世界中の牛や馬から放射性ストロンチウムが検出されていました。大気圏内核実験禁止後は徐々に減少し、当時の20分の1から40分の1程度にまで蓄積量が減っています。
体内に取り込まれるとカルシウムと同じく骨に蓄積して長期間放射線を出し続け、内部被ばくを与え続けます。そのため、他の放射性物質に比べて体内から自然に放射性物質が排出されていく生物学的半減期が長くなり、人体へ与える影響もその分大きくなります。ストロンチウム90から生成されるイットリウム90の放出するβ線のエネルギー量は大きく、その面からも健康に与える影響が大きいとされます。
β線は体外の測定装置に届かないため尿などの排泄物から測定し、体内の放射性物質量を推定することになります。
骨に吸収されやすいため、別の放射性同位体のストロンチウム89は骨腫瘍の治療に用いられることもあります。半減期が約50日と比較的短いので、同じ量取り込んだ場合、ストロンチウム90よりも短期間でも強く被ばくします。
遠くまで飛散しにくい性質があるため、原発事故で放出される量はセシウム137に比べると少なくなります。ただ、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故後の周辺では現在でも河川水などからストロンチウム90が検出されていて、長期間にわたる汚染が問題になります。
